理学療法士:「死」を宣告された方のリハビリ【story1-3:目標】

不気味な風景理学療法士

 

「死」を宣告された方でも、毎日病室に通っていたことで徐々に心は開き、笑顔を見ることが出来ました。

 

「今日の調子はいかがですか?」

徐々に体調の事も聞くようにしていきました。

 

たとえ笑顔が見られるようになっても、身体の状況が良くなるわけではありません。

他人から見れば普通に動けるし、どこが悪いかわからないと感じると思われますが、実際は身体の重だるさはかなりあるらしく、

「何もしたくないし、テレビも見たくない」

と言われていました。

 

その後も通い続け、会話だけして帰る。というリハビリから、会話をしながら少しでも身体を楽にするような運動やマッサージを行っていくようにしました。

 

リハビリを行うことで、瞬間的にでも身体が楽になるのを実感することができ、さらに心が開いていくのがわかりました。

 

徐々に会話の幅も広がり、自分の過去の話やプライベートな質問も出来るようになりました。

 

「数ヵ月前までは土木の仕事をしていた。」

「昔から釣りが趣味だった」

「今は妻と2人で暮らしているが、迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいる」

「急に入院という運びになったため、家で最期に備えるための準備はまだ出来ていない」

 

など、笑顔で楽しい会話をすることや「死」について考えるような会話までリハビリの時間の間に色々と会話をすることが出来ました。

 

それらの会話の中で、この方の趣味である「釣り」の話をするときは特に盛り上がり、笑顔が多くみられました。

この方の「釣り好き」は本格的で、川釣りから始まり、渓流釣りを経て、数年前からヘラブナ釣りをしているとのことでした。

私は趣味と呼べるようなものではないですが、以前バスフィッシングにハマっていたことがあり、釣りの本当の基礎だけは知っていました。

 

なので、色々な釣りの質問を投げかけることができ、会話はすごく広がりました。

 

釣りの話をしている時はすごく楽しそうで、その会話の中で、

「もう1回釣りに行きたい」

 

という発言が聞かれました。

 

それに対して私は半ば反射的に、

「リハビリをがんばって、また釣りに行きましょう!」

と答えていました。

 

現実的に釣りに行くのは厳しいかもしれません。しかし、人間目標がないとなにも頑張ることができません。

特に「死」が間近に迫っているこの方にとって、目標を作ることは最期の頑張るための希望になると信じ、「もう1度釣りに行く」という目標を立てる事にしました。

 

story1-4に続きます。

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