理学療法士:「死」を宣告された方のリハビリ【story1-4:協力】

理学療法士

最初に3ヵ月という余命宣告されてから約2週間が経ち、ようやく目標を定めることができました。

「もう1度釣りに行く」

現実問題、この目標を実現させるのは無謀です。

ご家族が最期の思い出作りにと動くならまだしも、病院の人間が請け負うにはリスクが大きすぎるし、入院中の患者を外に連れ出すなんて聞いたことありませんでした。

半分はこの目標を掲げることで、生きる気力になってもらえればという気持ちでした。

しかし、半分は本当に「どうにかしてこの人をもう1度釣りに行かせてあげたい」という気持ちもありました。

 

もし実現させるためには、「死」に負けない精神面でのケアと現在歩けているという身体機能面の維持が必要になってきます。

 

普段は理学療法士である私が身体機能面担当になり、作業療法士の先輩が精神面担当になるのが概ねの流れです。

しかし今回は時間もないため、私も先輩も両方をしていく形で話がまとまります。

 

リハビリの具体的な内容は、「基礎体力の維持、基本動作能力の維持」を目的に歩行練習を中心に行いました。

それらをしながら、本当に釣りを実現させるために、周りの方も巻き込んでいきました。

 

本来、入院時に外出するときは手続きをしなければならず、釣りに行きたいからといって簡単にいけるわけではありません。

さらに、担当医師からの許可も必要になってきます。

この方の場合、命への危険が高く、急変してもおかしくない病気であるため、ご家族や医師の協力が絶対条件になります。

機能訓練をしながら、ご家族、医師、看護師、その他のリハメンバーと様々な人に話をしていきました。

命の期限が迫っているため時間に余裕はありません。

出来るだけ効率的に色々な方に話し、同意・協力が得られてきました。

色々と動いている間に、釣りに行くことが現実的になってきているのがわかりました。

この時には「絶対に釣りに行かせてあげたい」という気持ちになっていました。

 

そんな中、本人の気持ちも大きくなっていき、ご自身で釣り仲間に連絡を取り、友人の協力も得られるようになりました。

 

段取りが決まっていく間も時間は過ぎていきます。

 

機能訓練で1度体力面の向上まで見られましたが、時が進んでいくにつれ、徐々に身体は蝕まれ、徐々に体力は低下していきました。

 

story1-5に続きます。

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